2011/10/31

ありがとう、南ヤスヒロさん


sunbrainの南ヤスヒロさんが、お亡くなりになりました。

丸谷マナブさんのBlogにて突然の訃報を知り、
まだ現実を受け止められない状態で、この記事を書いています。


sunbrainは私の人生で、
いちばん長く寄り添ってくれている音楽で、
いちばん暮らしの中で近くに在り続けている音楽で、
いちばん沢山の思い出に結びついている音楽です。

高校生の頃に初めて知り、そこからは、ずっと一緒でした。
真新しい制服に戸惑う日も、
慣れた制服に卒業する日も、
初めての恋人と初めて手を繋いだ日も、
泣きじゃくった日もお腹を抱えて笑った日も、
ずっとずっと一緒でした。

当初は某アイドルグループのファンクラブに入り、一ヶ月に一度送られてくる会報を心待ちにしているような、普通の高校生で、
sunbrainがきっかけで、様々なジャンルの音楽を聴き始めるようになりました。
カラオケで、よく「Go To Fly」を歌っていたなあ。

グラフィックデザインやアートワーク制作を始めてから、
丸谷マナブさんと知り合う事が出来て、
CDジャケットやフライヤー等でご一緒させてもらうようになりました。
マナブさんには、もう、しつこいよってくらいに”sunbrainの音楽に助けられた、本当に大好き”と伝える事が出来たけれど、
まだ、ヤスヒロさんには伝えられていないままだよ。
私自身、もっともっと制作を頑張って、いつか直接お会いして、「ありがとうございます、愛してます」って伝えたかった。

言えなかった事を、ここで言います。

ヤスヒロさん、本当に素晴らしい音楽をありがとうございました。
私の中の世界を広げてくれて、ありがとうございました。
お会いする事は出来なかったけれど、マナブさんの発言やお二人のラジオを聴いて、「ああ、愛に満ち溢れた、あたたかい人なのだなあ」と伝わってきました。
私はまだまだデザインの分野で勉強をしなくてはいけない身で、頼りないかもしれませんが、
マナブさんのソロ活動において、全力でサポートさせて頂きたいと思っていますし、
任せてもらえる事・私にしか出来ない事を見つけて、支えていけたらと思っています。
sunbrainの音楽は、明日も、今この瞬間も、きっと広がり続けています。
応援してくれている人、初めて知って好きになってくれる人、みんなの心の中でどんどん育ち続けていきます。
これからも大切に大切に聴いていきます。


私の中でのsunbrainは、やっぱり、虹だから、
ヤスヒロさんに、虹の絵を贈ります。

心からご冥福をお祈りします。
今まで本当に、どうもありがとうございました。


ヤマダサヲリ

2011/10/30

【音楽を絵に】月球「狐の嫁入り」


【音楽を絵に】コーナー、更新しました。

今回は、月球「狐の嫁入り」という曲を描きました。
▼絵(原寸大)
http://saoriyamada.tumblr.com/post/12107668721/title-by-saori-yamada
▼楽曲試聴(YouTube)
http://www.youtube.com/watch?v=BcVx-HqXWus


月球のデビューアルバム「コントラスト」から、
02.「狐の嫁入り」を選曲。
音から見えた色・風景・気持ちを絵に描きました。

初めて聴いた時、
Vo.植田さんの歌に、心をギュウと掴まれた瞬間を覚えています。
強い芯と、繊細さ、それらが見事なバランスで溶け合った素晴らしい声。
物語性のある音楽は、こちらにポタポタと色を落としてくれるような感覚。
すべて分からなくなってしまった時、心のすべてを白にして、再生しています。
そうすると、忘れかけていた遠い日の色が、じんわり浮かび上がり、本当は見えている行先を提示してくれるような、
大好きな、大切な、一曲です。

皆さんも、ぜひ一度、試聴してみて下さい。

2011/10/12

【音楽を絵に】馬の骨「燃え殻」


【音楽を絵に】コーナー、更新しました。

今回は、馬の骨「燃え殻」という曲を描きました。
▼絵(原寸大)
http://saoriyamada.tumblr.com/post/11348337431/title-by-saori-yamada
▼楽曲試聴(YouTube)
http://www.youtube.com/watch?v=B-AwnErnOqI


― 沈み出した 愛の燃え殻を 静かに見守るだけ 崩れ落ちないように ―

キリンジのメインヴォーカル、堀込泰行さんソロ・プロジェクト「馬の骨」。
1stシングルから、「燃え殻」を選曲。

この曲に出会ったのは、今から4年ほど前でしょうか。
キリンジを好んで聴いており、透き通っていて芯の通った歌声に魅了され、
ソロでもご活躍されているという情報へ辿り着きました。

当時の私は18歳頃で、
「愛」とか「恋」とか、深く考える事が少なかったのだけれど、
今になって改めて聴いてみると、新しく見えてくる色や気持ちがありました。
赤い陽、
燃え殻、
刻まれた時間、
頼りない時間、
さようならの背中。

22歳になった今、もう一度じっくりと耳を澄ませて、音から見えた景色を描きました。
もしかすると、それは私にシンクロしている事なのかもしれないし、
遠くにある理想なのかもしれないし、
こうして文章を入力している今、本当は、全て理解しているのかもしれない。
今だから、今だからこそ、描こうと思いました。

キリンジとは異なったアプローチが光る、素敵な一曲。
ぜひ、試聴しながら絵を眺めてみて下さい。

- - -

[ちょこっとお知らせ]
Twitterでは既にお伝えさせて頂いたのですが、
少しの間、【音楽を絵に】コーナーにての更新がローペースになります。
理由としては、個人で抱えている制作物いくつかに完全集中して挑みたい為です。
そちらもまとまった際は、お知らせさせて頂きますね。
※時間があった際は更新を続けていきますので、ご安心を。
いつも応援して下さっている方々、メッセージを送って下さる方々、感謝しています。

▼ヤマダサヲリ Twitter
http://twitter.com/saoriyamada_hug
▼ヤマダサヲリ mixi
http://mixi.jp/show_profile.pl?id=18854773

2011/10/09

森ゆにさん ― 空へ昇る音楽 ―


10月8日(土)。
熊の出没域がどんどん街中へ広がっていくなか、
怯えながらも、行って来ました。
森ゆに さん、ワンマンLIVE(@ 公開秘密結社あじと3)。

レーベルメイトのirifuneお姉様をお誘いして、二人でテクテクと。
(totokoko label 札幌支部も、仲良しだよ、関東チームのみんなっ)
「ムツゴロウさんによると、熊と遭遇してしまった時、静かに道を譲ったら、ゆっくりと通り過ぎていったらしいですよ」なんて頼りない撃退方法を伝授する私と、
「でもちょっと、写真撮りたいよね」とクールなお姉様と、
二時間前に目撃情報があった公園沿いの通りを歩いて、会場へ向かったのでした。


今回の会場となっていた「公開秘密結社 あじと3」さん。
”秘密結社…しかも公開秘密結社……どんなところだろうか”とドキドキしながら行ってみると、
夜の闇にふんわり光が浮かぶ、とても穏やかな雰囲気の空間でした。
ふっかふかのソファに座り、
ライブの企画者さんとご挨拶・乾杯をして、
窓の外の住宅街を眺めて「意外なところにあるんだなあ」とボケーッとしているところで、
森ゆにさん、登場。

彼女がAPOGEEのサポート(キーボード)をしている頃から大好きで、
もう、何年も聴き続けて過ごして来たけれど、ソロライブでは初めての来札。
東京でおおはた雄一さんと共演された日、
私がアートワークを担当させて頂いている丸谷マナブさんが、簡単に紹介して下さって、間接的にお名前を聞いて頂いた事はあったのだけれど、
「いつか直接ご挨拶したい、絵をプレゼントしたい」と思っていたので、
願いが叶った、贅沢な夜でした。


澄んだ美しい歌声は、真っ直ぐにスーッと空へ昇っていき、高い高い上空で”まあるく”溶けていくような感覚。
しなやかで、優しくて、穏やかで、軽やかで、楽しくて、寂しくて、愛に満ちていて。
たくさんの表情が伝わってきました。
「ああ、ゆにさんの歌は本物だ」、
「こんな女性になれたらなあ」、と聴き惚れてしまいました。
心地良いピアノと、
揺れるキャンドルの火と、
カウンターの奥の方でモクモクとたつ湯気と。
広い広い夢の中のような、母体のような、大きな安心がそこにはありました。


終演後、
30分程のモジモジタイムを経て、
この日の為に描き進めてきた絵とお手紙を、プレゼントして、ご挨拶する事が出来ました。
素敵な人だったなあ。
可愛かったなあ。

写真は、上から、
「あじと3」さん看板、
店内一部、
今回使用されていたピアノ、
プレゼントした絵、
ゆにさん(左)と私(右)のツーショット。

ツーショット写真を今こうして見てみると、ゆにさん、こんなに背が高かったんだ。
(いや、私が低いのか?)
お喋りしたのにも関わらず、背の高さを感じる余裕はゼロで、緊張の神様と化していました。
ニヤニヤしちゃったよ。

まだ、余韻が続いていて、本当に長い夢のよう。
ゆにさん、素晴らしい夜をありがとうございました。
またいつの日か、お会い出来る日を楽しみにしています。

2011/10/01

テニスコーツと秋の川


土曜日、秋口、正午過ぎ。
川へ。

画材と紙を購入し、近所の書房から帰宅した後、
ふと、テニスコーツ「ひこうき(-0)」の歌詞が頭に浮かんだ。
”記憶の隙間を ラクダと渡る 彼方のメリーゴーランド まあるく回りだす”
なんだか、そんな気分だ。
太陽は照っているのに雨がぱらぱらと降る、いちばん好きな天気だったし、
少々パッツパツに詰まった脳内を整理したかったし、
記憶の隙間をラクダと渡りたかったし、
彼方のメリーゴーランドもまあるく回したかった。
荷物を玄関にトンと置き、くるりとターンをし、すぐに家を出た。


歩き始めてすぐに、雨が上がった。
鳴呼、天気雨。
月球さんの「狐の嫁入り」でも聴きながらいこうか、とも思ったけれど、
ここはやはり、テニスコーツ「ひこうき(-0)」を再生した。

15分ほどで、川へ着いた。

ちょうど今取り組んでいるプロジェクトでは責任ある立場なので、
ピンと張った気持ちの糸を、少しだけ、緩めてあげようと思い、
普段は通り過ぎるだけでなかなか歩かない場所を、巡ってみる事にした。

川を囲むようにして、たくさんの緑が茂っている。
小道へと続く降下階段の先にある水たまりには空が映っていて、
雲に近付いていくような光景だった。
遠くに見える電波塔を見て、「あー、あの下を歩くとビリビリ聞こえて怖いんだよなあ」とか、
犬の散歩をしていたオジサンの靴下が蛍光イエローで、「交通安全の旗の色って、こういう色だったかなあ」とか、
小学生くらいの男の子が自転車に乗って通過し、「私が小学生の頃は、ローラーブレード一色だったなあ。今は見かけないな、ローラーブレード。けっこう好きな響きだな、ローラーブレード」とか、
どうでもよい事ばかりを、ただただ考えていた。
けれど、水に浮いているように、頭の中を日常に委ねきったのは久しぶりだ。
こういう日も、大切にしてあげようと思った。

川の流れる音が、気持ち良い。
以前、散文詩を読んでくれた人から「水のような質感だね」と言葉をもらった事があった。
その時初めて、”ああ そういえば私は水が好きだ”と気が付いた。
川の音、海の音、コップに注がれる音、水滴が垂れる音、それらに夢中になったりする。
前世だとか占いだとか、そういうものはよく分からないけれど、
魂がここまで継がれてきたのならば、魚だったりして。
どうせなら、シーラカンスがいいな。世界の、深海の御局。
ああ、またくだらない事を考えている。

雨の乾いたベンチに座り、
「眠くなってきたなー、んー、陽光さんめー」とウトウトしていたら、
後方から”ヴィィィィィーン!”という激しい音。一瞬にして眠気が吹っ飛んだ。
見てみると、トラックから続々と降りてくるおばさま達が、なんとも豪快な素振りで草刈り機をグングン動かしている。
同時に、こちらへ香る草のにおい。そして、おばさまの視線。
会釈をし、川から去る私。


帰り道も脳内は”どうでもよい事スイッチ”が作動し、
何年か前に頻繁にテレビで見かけていた、ワッキーのギャグで頭がいっぱいだった。
(あの、ヴィーンと言いながら手先をフリフリするやつ)

私には、女の子女の子した”エステにいってきたの”だとか、
”安くて良いネイルサロンにいってきたの”よりも、
こんなふうに、川でのんびーりするほうが合っているのかもしれないな。
キャピキャピしている友人に、”静かで緑に囲まれた川があるんだけど、どう?ホットペッパーとか要らないからさあ”って言ってみようかな。


やはり、自然の緑はきれいだ。
嬉しい事に、この頃はデザイン制作をいくつかさせて頂いているけれど、
CMYK、RGB、露光、解像度。
目がチカチカしちゃうくらいにソフトを使用している。
雨粒をのせて、太陽で優しく光る草や木の緑に触れていると、「かなわないよ」と言いたくなった。

また来よう。
草刈りが落ち着いた頃に。